人気ブログランキングへ 

ジョギングの習慣がショットイメージの再現を更に強化する!

2012年10月27日 12:03

 54ヴィジョンの提唱者であるピア・ニールソンをご存じだろうか?

 アニカ・ソレンスタムや宮里藍プロを指導していたこともあるので知っている方も多いと思う。

 ピア・ニールソンは、収集した情報から戦略を決断したり、スイングをイメージしたりする「シンキングボックス」と、スイングだけに専念する「プレーイングボックス」を明確に分けてプレーすることを勧めている。

 この考え方には賛成だ。

 先日、これに関連しそうな面白い実験を知った。

【ジョギング習慣による脳力アップ実験】


 京都大学名誉教授の久保田競氏が行った脳科学の実験で、2002年に米国神経科学会に発表し、2004年に論文発表されたものだ。

 実験の趣旨は『走る習慣をもつと、前頭前野の課題成績が良くなる』というもので、週に2~3回、30分ほどジョギングをする男女7名のグループと、まったく走らない7名のグループを比較する形で行われている。

 被験者には次の課題をさせている。

 パソコンの画面で、3行3列に並んだ9個の点のどれかを一瞬点灯させて消し、どれが点いたか覚えてもらう。

 10秒後に解答してもらうのだが、その間に次の課題をはさむ。

 画面に図形Aが出たら、マウスボタンから手を離し、画面に図形Bが出たら、マウスボタンから手を離さないという課題を2回やってもらう。

 その後、最初の課題に戻って、9個の点のどれが点灯していたかを答えてもらうといった、入れ子状の複雑な課題になっているというもの。

 この課題の正解率は、両グループとも当初は約65%で同程度。

 6週間後、12週間後に両グループに差が出てくる。

 走らないグループは、課題の慣れで70%強まで微増したのに対し、ジョギングをするグループでは80%、95%と正解率がアップしたという実験結果になった。

 この実験にゴルファーが学ぶべきことが多い。

 ワーキングメモリー(作動記憶)の保持時間の問題なのか、挿入課題の影響なのか、それとも両方が影響しているのか、この実験の結果だけでは断定はできないが、当初の正解率は約65%で、かなり成績は悪い。

 猿では空間の記憶を9秒間は保持できることが、久保田氏が過去に行った動物実験でわかっているが、人がワーキングメモリーをどの程度保持できるかの実験は無いそうで、保持できる時間は定かではない。

 しかし、半年間の繰り返し学習の結果、チンパンジーでは3分間保持できた記録もあるようなので、人はそれ以上だろうと推定してもいいと思える。

 挿入課題が無い場合に、10秒後に解答するだけなら、人にとって時間的には何の問題もないはずだ。

【スイング中に確認するチェックポイントの弊害】


 仮に、挿入課題の影響として、ゴルフに当てはめて考えてみよう。

 ゴルフではスイング中にスイングのチェックポイントを意識する人が結構多いと思う。

 スイングイメージをこの実験のメインの課題と仮定すると、チェックポイントを意識することは、この実験の挿入課題と同じ意味合いを持つ。

 スイングイメージは、スイングすることほぼ同じ作用を脳内で引き起こすことが、最近の脳科学で立証されつつあるようだ。

 最新の脳科学では、fNIRS(エフニルス)という装置が使用され、静止していない状態でも脳のデータを測定できるようになった。

 脳に近赤外線を照射して、ヘモグロビンでの跳ね返りを見ることで、脳内の血流の変化を測定できる。

 歩いているつもりになるだけで補足運動野が働く様子がfNIRSで測定できたので、イメージトレーニングによる効果の科学的な裏付けになったというわけだ。

 大脳の運動野・運動前野に記憶されているスイングイメージは、ワーキングメモリー(作動記憶)に引き出されて処理されている。

 スイングのチェックポイントのような言葉で説明できる記憶は、別の領域に記憶されているようだが、処理にあたって、これまたワーキングメモリーに引き出される。

 人がマルチタスクに適していないことは、ヒューマンエラー研究などでよく知られているところで、互いに干渉してあって失敗する可能性を高めてしまう。

 そのため、先の実験当初の正解率が約65%という悪い結果になっているのも頷ける。

 ピア・ニールソンの「シンキングボックス」と「プレーイングボックス」を分ける考え方は、人の特性とも言えるこの欠点を排除する上で有効だ。

 スイング中には、チェックポイントもさることながら、できるだけイメージ以外のことを考えずに、スイングイメージを遮らない方が良い。

 それでもなお、チェックポイントが気になる人にとって、週2~3回、30分程度のジョギングをする習慣を身につけることで、ワーキングメモリーの機能が向上するというのは朗報だ。
 
 チェックポイントを意識するような余分なことをしたとしても、走っていれば、95%という高い確率でイメージを再現できるようになるのだから。

 イメージが再現できれば、必ずしもナイスショットを再現できるとは限らないが、イメージ不足が原因によるミスショットを減らせることは確かだ。

 ただし、これをもって、ピア・ニールソンの考え方が不要になるわけではない。

 ジョギングが習慣化した後も、依然として、5%の阻害要因になっているわけで、原因がはっきりしている阻害確率の5%は大きく、放置しておくのはもったいない。

 イメージトレーニングの効能が科学的に実証されてきただけに、やはり、スイング中は、スイングだけに集中することが大事だと感じる、今日この頃だ。


 ゴルフショットテクニック カテゴリ〔サイトマップ〕へ戻る
 サイトマップ〔トップ〕へ戻る
スポンサーサイト



最新記事